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まちの居場所

先月、日本デイケア学会で「居場所を問う~ケアにつながる場とは~」というテーマのシンポジウムをしました。シンポジウムでは、建築学がご専門で、まちの居場所に関するご研究をされている、実践女子大学の橘弘志先生をお招きしてお話を伺いました。橘先生は、全国各地で取り組まれているまちの居場所の実例をご紹介して下さり、まちの居場所の特徴や、環境そのものがもつ臨床性についてのご論考をお話下さいました。

橘先生が共著でご執筆されているご著書

私は臨床現場にいる立場から、デイケアの「居場所」という側面について、その意味を改めて問う内容の発表をさせて頂きました。この業界だけに限らず、今の時代の潮流は「専門分化」にあります。つまり、同じニーズを持つ人々を集めて、専門的な何がしかを効率よく提供していこう、ということですね。(精神科)デイケアも例外ではなくその流れの中にあり、デイケア機能の分化と強化(≒対象を限定し、エビデンスのある専門的な実践を行う)が求められています。もちろん私はそのことを全面的に否定するわけではありませんし、そうした実践が必要とされていることも理解しています。ですが、だからといって「居場所≒ただ人を集めて何もしていない」と短絡してもらっては困ります。居場所が居場所として成り立つためには、人々の間で、人と環境の間で、あるいは人とモノとの関係の中で、何等かの「はたらき」があり、それが「はたらく」構造があるに違いありません。その全容を明らかにする実力は(まことに残念ながら)私にはありませんが、その一端を照らし出せはしないだろうか・・・ということで、今回は「居場所にみる創造性」というテーマでお話させて頂きました。いや本当に、「何もしてない」どころか、居場所にはびっくりするほど創造的な営みがある。それへの信頼を持つことができたら・・・居場所そのものが持つ豊かな臨床性に応答する力も自然に高まっていくんじゃないかなと思います。

なんてエラそうに言っていますが、「エビデンス」「就労支援」花盛りの業界で、こういうことを発表するのはアウェー感満載&ビビり通しでした。でもこういう主張をメインストリームにしていきたい、というのではなくて、色んな意見を片隅の方でだってそっと呟いていたい・・・違いがあっても、違いを無理やり合わせるんでもなく、違ったまんまで同じ場所にいる。居場所だって、学会だって、おんなじことですよね。

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