現代社会は、これまでにないスピードで急速に変化していっています。それに伴って、生きていくために必要な知識や技術も日々どんどん更新されていますが、公教育がその変化にじゅうぶん対応しきれているとは言えないのが現状です。たとえば性教育。日本では性的同意年齢が13歳と、諸外国と比較しても低いことが指摘されていますが、それにもかかわらず義務教育の間に性的同意とは何か?ということはおろか、性行為やそれに伴うリスク、リスクを回避する具体的な方法についても学ぶ機会がないか不足しています。こうした状況を受けて梟文庫では2019年、正しい科学的知識に基づいて子どもたちに性教育ワークショップを展開している医師のユニット「アクロストン」さんをお招きして、発達段階に合わせて子どもたちが工作をしながら楽しく性について学ぶことができるワークショップを開催。同時に性教育に関する書籍を集めたブックフェアや、多様化する生理用品を手に取って比較することができるよう生理用品展示会も行いました。しかしパンデミックにおいてリアルのワークショップやイベントを企画しづらくなったため、性教育だけではなく「公教育で足りていない領域の学び」に焦点をあてた学びの場を、引き続きオンラインで持つことにしました。
違いのある他者と、お互いを尊重しながら、同じ社会の中で暮らしていく。「多様性」「共生社会」が謳われる時代ですが、それは言うほど簡単ではなく、また愉快なことでもないのではないかと思います。もっと言ってしまえばそれは、実現すべき「キラキラした理想の姿」では決してなく、違いのある他者はもうすでに私の隣にいて、その現実の中で互いを尊重する術を日々模索する義務を各人が負っているのです。「しんどい」「おかしい」という声が自分から、他者から出てきたら、その声をひろって不具合のありかを探し、何ができるかを考え、手当てを施していく。それを自分ごととして引き受けることができる市民であるために、学び続けたいと思います。オンラインふくろうぶんこはその理念に立脚し、公教育でじゅうぶんに扱えていないテーマを可能なかぎり取り上げ、学びの場を企画・運営していきます。